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STORY

STUDIO FNCの仕事の裏側を公開

text by RYUNOSUKE AOTA
photograph by KEN AKAZOME
article up 2017/06/30
貴重なイベント。メモリアルな想い。

秋田県能代市。この街には、全国でも有名なあの学校がある。漫画「スラムダンク」の山王高校のモデルにもなったと言われている学校。秋田県立能代工業高等学校バスケットボール部。全国制覇58回という数字は、今もなお、伝説の数字となっている。そんなバスケを知っている人なら絶対に知っている学校がこの地にあるのだ。今もなお、現役の選手たちがその伝統を守り続けている。

そして、そのバスケ部が1967年(昭和42年)、埼玉で開催された国体で全国大会初優勝を飾った時から今年で50周年というメモリアルイヤーなのだ。その節目を記念して、全国各地で活躍している能代工業バスケ部OBが一同に能代へ集結。夢のチームを結成して、現役チームとの真剣勝負を繰り広げるというイベントが開催された。

2017年6月10日、能代市総合体育館。ここに約1800名の観客が集まった。この日は、バスケの街能代としても記念すべきイベントだった。

タイトルはとてつもなく長い。「バスケの街能代記念事業 能代工業バスケ部全国大会初優勝から50周年メモリアルイベント」が正式なイベントのタイトルである。

参加者は、主にB.LEAGUEの第一線で活躍する選手やスタッフ、そして、1967年(昭和42年)の初優勝時のキャプテンや、メンバーも参加し、総勢200名近いOBが集結した。

どの選手も、真剣な表情で試合に臨む。それは、能代工業の伝統を守り続けたものたちが知る空気感なのかもしれない。決して手を抜かない真剣勝負に、会場の観客たちも誰もが全く動かない。真剣な眼差しで見つめる先の試合で、繰り広げられるプレーの数々。

B.LEAGUEや、大きな大会でも決してみられないような雰囲気がそこにはあった。結果は、66対86で、OB選抜の勝利となった。しかし、この結果は、現役チームにとっては、大きな力になったことは間違いない。こんなにも心強いOBが多く存在しているチームは、全国的に見てもないだろう。この1日がどれだけ貴重な1日にだったかをきっと、この先の人生において、実感するはずである。

総務省が主管している事業「地域おこし協力隊」に参加し、今回は、能代市地域おこし協力隊のバスケ担当でもある青田が、このイベントに大きく携わることになった。企画の段階で、まず、ポスター・ビジュアルのデザインを製作、リーフレットや、記念品デザイン、イベント公式ホームページ製作・運営、そして、広告・PRに関してもマーケティングを活用した方法で、行なった。当日は、会場の音響や、設営はもちろん、歴史を振り返る動画製作など、数え切れないほどの案件を行なった。もちろん、自分自身が前面に出ることは全くなかったが、徹底的な裏方として、このイベントを成功させるべく、毎日、たくさんのことを考え、計算し、想定した。

今回、ビジュアルデザインに関してはラフ案段階で全4案の異なった方向性を提示した。

秋田をホームチームとするB2チームの秋田ノーザンハピネッツというプロバスケチームがある。そのチームカラーがピンクを基調としている。その為、秋田でバスケのポスターを目にするとすればピンク色のものが多い。そういう観点からも、今回はなるべく背景を明るい色にし、更に能代工業のユニフォームを一発で視認出来るようなデザインが求められていた。

本物のユニフォームを借り、何度も撮影を行い、角度を調整しては、ポスターに当てはめ、納得いくまでの繰り返しの作業を行なった。デザイン上では恐らく何十案という数を出したが、最後には、その中でも納得のいく8案を提出。その中から、ブルーが輝くような角度で撮影出来たデザインのものが採用となった。

正直大変なことの方が多かったが、それ以上に、こんなにも貴重な経験とタイミングに自分自身が能代にいることが出来たこと、そして携われたことが本当に嬉しかった。今後の人生において、この経験は決して忘れることのないものの一つになった。

一つのイベントを作り上げるために、多くの人々が動き、そして、多くの方々の協力が必要となる。つまりは、チームプレーなのだ。参加してくれた現役選手も、OB選手もバスケは、ワンマンではなく、常にチームプレー。一人で全てをこなすのは不可能であり、そこには、必ず、助けてくれる仲間がいること。助けてくれるOBがいること。これが、能代工業のパワーであり、そして、能代という街の象徴の一つでもある。

バスケの街能代に来ることが出来て本当によかった。そう実感したイベントだった。

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