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STORY

STUDIO FNCの仕事の裏側を公開

text by RYUNOSUKE AOTA
photo by RYUNOSUKE AOTA / MAO TOMITA
article up 2018/12/01

素敵な想いが詰まった展示、これがきっと究極のマチオモイ

VOL.12「わたしのマチオモイ帖2018特別展 東京・大阪」

暑過ぎた夏が遠い昔に感じるぐらい、あっという間に、長袖やコートが似合う季節になっていた、秋の東京。東京駅前にあるKITTE。ここはかつての東京中央郵便局が入っていた建物である。外観は残っているものの、再開発によって、巨大なビルに建て替えられ、今の姿になった。その地下に入るイベントスペースにて、11月8日・9日の2日間にわたって開催されたのが「わたしのマチオモイ帖特別展」である。

全国各地のクリエイターたちが大好きな街を思い、思い思いの形で製作した冊子を集め、展示しているイベントが「わたしのマチオモイ帖」である。そして、毎年、ゆうちょ銀行とコラボレーションし、厳選したクリエイターの作品を使用して製作している「マチオモイカレンダー」の2019年版が発行されたことを記念して、今回、東京・大阪の2拠点で特別展が開催された。

私たち、STUDIO FNCは、2012年、東京・六本木のミッドタウンデザインハブで開催されたマチオモイ帖イベントに、当時の活動場所、横浜・馬車道で製作していた冊子「馬車道人」を「馬車道帖」と名を変え、出展したのが始まりだった。そこから、約6年。計4冊の冊子を出展させてもらってきた。その中でも今年春に製作した「馬車道帖2018」は、横浜・馬車道を3年振りに取材した久々の作品となった。そして、これが思わぬ出会いを導いてくれるきっかけになる作品となった。

まだ本格的な夏が来る前の6月頃だった。突然、1通のメールが届いた。それは、マチオモイ帖事務局の方からで、毎年製作しているマチオモイカレンダーというものがあり、その中で秋田の写真を探している。自分が秋田・能代で製作した「能代大森山帖」の時の写真を提供してもらえないかという内容だった。

突然の連絡だったので、驚きとともに、すごく嬉しかった。6年前、初めて応募して以来、ファンであり続け、毎年のように楽しみにしているイベントだったマチオモイ帖から、まさかのお願いを頂いたのだ。テンションが上がり、すぐさまOKの返信をした。そして、写真素材を何点か送り、能代にいる現地の仲間にもその写真提供をお願いした。その後、その写真は使用されなかったのだが、神奈川のジャンルも少ないため、是非、横浜・馬車道の写真でカレンダーに参加してもらえないかというお願いをもらった。

その瞬間、もうテンションが上がりまくり過ぎてどうしようもなかった。まさかのマチオモイカレンダーに自分が参加出来るなんて。。。そんなことがあるのか?!これは夢なのか?!そんな想いが1分ぐらい頭の中を駆け巡り、そして、現実だと気付いてすぐに返信した。

「是非、参加させてください!」

こうして、マチオモイ帖の方々とのメール交換が始まった。

そんな中、豪雨災害で広島を中心に西日本が被災したニュースが流れた。やり取りの中で、その話題にも触れ、Facebookで繋がり、その現状を逐一知る。報道でもわからないリアルな現状を知り、さらに辛くなる。そして、さらに、その後、大阪北部を中心とした震度6の地震も発生する。マチオモイ帖事務局は、大阪。なぜ、こんなにも多くの災害が今年は西日本ばかりで続くのだろう、そして何も出来ない自分にまた虚しくなる。

西日本での出来事ということで、なかなか東京や東日本ではその話題も最初の方だけで継続して報道されることがない。同じ日本なのに、こうした情報の扱い方は、本当に毎回、虚しい想いをする。

しかし、このような出来事があり、メールで常に連絡を取るようになっていたので、やはり、一度、お会いしてみたい。お会いして直接、そのマチオモイについての話を聞いてみたいし、自分のマチオモイも伝えてみたいと思うようになった。

10月に、大阪へ出張する用事が出来て、そのタイミングでいよいよお会いすることが出来ることになった。当日、宿泊場所の東三国駅から御堂筋線に乗り、天王寺で下車。そこから大阪ミナミの日本橋にあるオフィスへ向かうため、歩いて行ってみようと思いつき、通天閣を見たり、秋葉原に似た日本橋の電気街を歩きと、とにかく歩きまくった。オフィスに着く頃には汗だくになってしまっていて、初対面は尋常じゃない程の汗をかいた状態だった。マチオモイ帖を支える2人の方と、オフィスに一緒に働くまめちゃん(ワンちゃん)にも会うことが出来た。そして、その夜、ミナミの老舗の焼き鳥屋さんに連れて行って頂き、本当に濃厚な時間を過ごすことが出来た。止まらぬ会話、初めてあった気が全くしない程の居心地の良さ。

自分が関わり始めた6年分のマチオモイを全てを一気に伝えてしまうほど、本当に嬉しかった。とにかく嬉しかった。そして、自分にとって初めての大阪に繋がりを持てる人が出来た瞬間だった。そして、急速にマチオモイ帖との距離が縮まり、11月の東京展を設営からお手伝いさせて頂くことになった。この6年、見に行くだけの展示だったものを今度は、自分もその設営・運営に携わる側へ。それはもう感覚も気持ちも全然違うものになった。夜中の東京駅KITTEでは、設営でも新たな出会いがあったり、ワクワクすることがたくさんあったり、イベント中にも色んな出会いがあって、それがまた大きな出会いに繋がったり、自分にとって、この東京展の3日間は夢のような幸せすぎる3日間だった。まだ終わらないでほしい、このままずっと、この空間が続いて欲しい。心の底から願うほど、素敵なイベントだった。そして、初めてトークショーにも出演させていただき、馬車道帖製作の想いなども語らせていただくことが出来た。

片付けが終わり、空っぽになった会場を見た時、夢から醒めたような気持ちで、思わず涙が。素敵な時間はあっという間なのだ。

そして、翌週、再び、大阪へ。会場入りする前に、間違えて乗ってしまった堺筋線の車内でマチオモイ帖の方と遭遇するという予想外の出来事もあったり。ここでもやっぱりなんだか縁を感じる。会場は、関西テレビの入る、関テレスクエア3Fにあるメビック扇町。東京展とはまた違った展示。さすが、本拠地大阪という展示を見ることが出来た。入り口正面には、木で作られた素敵な什器に、ポストカードが展示されている。光の位置も絶妙な角度で、その展示そのものがまず、一つの作品になっていた。夜のトークショーは、また深いお話を聞くことが出来、動画を撮影しながらついつい、聞き入ってしまった。

濃厚な2週間を過ごすことが出来て、再び、自分の中でのマチオモイがまた一段と変わった。新たな作品作りはもちろん、今度は、マチオモイ帖をもっともっと、全国へ、特に、東北・東日本へ広げるための活動をしていこうと動き始める。

東京展のトークショーで出たキラーワード「勝手力」。勝手にやって勝手に盛り上げてたら、いつの間にか色々な人たちを巻き込んで大きな力になっていたという話。まさしく、マチオモイ帖って、勝手にやってる究極の地域おこしだと思う。だからこそ、もっともっと、たくさんの人たちに知って欲しい。マチオモイ帖の輪がもっと色々なところへ広がるように。

自分にとってもまた新しい刺激がもらえた出来事だった。

来年、いよいよ10周年を迎えるSTUDIO FNC。新しい10年後の目標がまた一つ増えた出来事だった。

▷わたしのマチオモイ帖 公式HP http://machiomoi.net/

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